TIME誌を使ってネイティブ流の英語表現を学ぼう

超一流の記者が書く英文記事からピカリと光る表現をピックアップ。さらに世界が今注目する話題について分かりやすくまとめます。

銃乱射事件の生存者を苦しめ続ける中毒症状(TIME 2019年7月8日号)

いきなりですが英訳問題です。

「長い間、多くの製造業で鉛は第一選択の金属でした。」

みなさんは、これをどのように英訳されますか?

今日はTIME 2019年7月8日号の記事からの紹介です。

 

記事の背景

銃撃を受けた後に弾丸の破片が被害者の体の中に残ることがありますが、このような破片はこれまで人体に害がないと考えられてきました。しかし、弾丸の鉛が血液中に染み出して、血中の鉛濃度が上昇すると倦怠感・頭痛・吐き気・腹痛などの症状が出ることが最近になって知られるようになってきました。医師も一般的な病気の症状と区別することが難しく、見過ごされることが多いのが現状です。

 

 

You're not out of the woods yet

"I was told, 'You're going to be fine in the long term,' and that's not righ," Goddard says. ”It throws you back when you realize you're not out of the woods yet, and this terrible day is not entirely behind you."

「長期的には良くなっていきますよ」と言われましたが、それは正しくありませんでした。ゴダードさんは言います。まだ危機的状況から脱していないのだと気づくとき、それ(弾丸)はあなたを(悲劇が起きたその日へと)後戻りさせます。そして、その日は完全には過去のものとはなりません。

  • out of the woodsは、「(問題は完全には解決していないものの)危険や困難から逃れる」という意味です。薄暗い林を抜ける=ひとまず危険な場所からは抜け出した、というイメージですね。

 

  • throw backには以下のように様々な意味があります。
   ①投げ戻す、投げ返す
   ②後戻りさせる、遅らせる
   ③先祖返りする
   ④(お酒を)一気飲みする
 

 なお、名詞形にする時は"thorw"と"back"をくっつけて"throwback"とします。

 

 

 A version of ...

With roughly 80,500 nonfatl gunshot injuries annually, a vast number of Americans every year experience a version of Goddard's worst day.

年間で約80,500件の致命的でない銃撃による負傷が発生する中で、毎年、非常に多くの米国人がゴダードさんの最悪の日の別バージョンを経験しています。

  •  a version of ~は、「別のバージョンの~」と訳して問題ありません。 "a" は不特定のもの1つを指す冠詞なので、"another"と同じ意味で使われることがよくあります。

 

  • 「With 80,500 nonfatal gunshot injuries (occures) annually, 」は、「with 名詞+動詞, 」の形で後ろの文章全体を修飾しています。付帯状況を表す分詞構文というやつですね。TIMEの記事を読んでいると頻繁に見かける構文です。

 

 

... of choice 

Lead has long been the metal of choice in many industries, including ammunition, because it's common and inexpensive, sys Michael Helms, a firearms historian in Bton Rouge, La.

鉛は長い間、弾丸を含む多くの製造業で第一選択の金属でした。なぜなら、鉛はありふれており、高価でないからです。ルイジアナ州バトンルージュに住む、銃器に関する歴史家のマイケル・ヘルムさんはそう言います。

It's also heavey and dense, Helms says, which helps bullets maintain consisitent trajectories as opposed to those made with copper.

また、鉛は重くて密度が高いので、銅で作った弾丸とは対照的に、ブレの無い弾道を維持 することができるとヘルムさんは言います。

  • 「名詞 of choice」で「第一選択の、極上の、好んで選ばれる」といった意味になります。たとえば以下のように使います。
  • What is the drug of choice for migraine headaches? (片頭痛の第一選択薬は何ですか?)
  • Sparkling water is his drink of choice. (炭酸水は彼が好んで飲む飲料です)

 

  • as opposed toで、「~とは対照的に、~と対立するものとして」の意味です。

 

  • 鉛は主に塗料として多くの製品に使われていましたが、現在は中毒の危険性が十分に認知されて多くの国で規制されていることから、使用量は随分と減ってきているようです。弾丸の鉛が原因で中毒に苦しむ人がいるというのは、銃大国アメリカならではの問題ですね。

 

 

おわりに

「第一選択の薬は~です」は薬剤師にとって必須のフレーズですね。(そういえば私も薬剤師の端くれでした。)

非常に便利な表現なので、応用して使っていきましょう!

お読みいただきありがとうございました。