137年経過、ガウディのサクラダファミリアが完成間近(July 8, 2019)
今日はTIME誌 2019年7月8日号のサクラダファミリアに関する記事から楽しい表現を紹介していきたいと思います。
記事の背景
1882年に着工したサクラダファミリアですが、ガウディの死後100年にあたる2026年に完成させることを目標として建築が急ピッチで進められています。バルセロナ市への編入をきっかけとして建築許可のない状態がずっと続いていましたが、委員会が市へ多額の税金と補償金を支払うことに合意したことで、今年7月にようやくこの問題が解決しました。
しかし、まだもう一つ大きな問題が残されています。建築を進めていく予定の場所に混雑した道路や住宅街が広がっており、3000人もの住民が退去を強いられることになるのに、まだ何の調整も行われていないのです。毎月100人以上もの住民が、教会の近くで抗議の行進を行っています。
It was like learning a new language
It was like learning a new language―we weren't just learning the vocabulary, but the grammar as well.
新しい言語を学んでいるかのようでした。私達は単に語彙を学んだだけでなく、文法も学んでいたのです。
Once we learned to form these shapes and combine them, with each other, it was just a matter of following the rules he had laid out and applying them to new columns, new vaults.
一度これらの形を作って、互いに組み合わせることを学べば、あとは単に彼(ガウディ)が示したルールに従い、そのルールを新しい柱、新しい円天井に当てはめていくだけの問題でした。
現在も24名以上の建築家がサクラダファミリア建設のプロジェクトに関わっているのですが、これはその1人のFauliさんの言葉です。
幾何学を得意とするガウディは、たった2つの形(砂時計のような双曲面とポテチのような放物面)を使ってサクラダファミリア全体を設計しているそうです。上記の表現は、設計がまるで言語のように体系的であるということを上手く伝えていますね。
100年以上のプロジェクトですから、大勢の建築家が建設に関わることになるので、完成する建築物は本当にガウディが意図したとおりものになるのか?という疑問がどうしてもつきまといますが、その疑問への答えが、「建築家はガウディの意思をしっかり読み取り、それを新たな建築部分に適用していっているのですよ」ということなのでしょう。
Elephant in the room
But the agreement doesn't adress the facade-size elephant in the room.
しかし、この合意はその誰もが見て見ぬフリをしている大問題を手当てするものではありません。
elephant in the roomとは、厄介な議論をまきおこしたり社会的なタブーであるため、誰もが見て見ぬふりをする問題を比喩的に表現する言葉です。
もし象が部屋にいたら、それに気が付かずに過ごすというのは不可能ですよね。無理やり見てみぬふりをする可笑しな様子が目に浮かびます。
fasade-sizeというのは、(サクラダファミリア)の正面くらい大きな問題だという意味です。単純にhuge elephantと言えばいいところを、サクラダファミリアくらい大きな象(問題)と表現しているところが面白いですね。
なお、ここで言っている問題というのは、建築予定地に現在も居住している大勢の人達と退去の合意が取れていないという問題です。
like latter-day monoliths
Part of the answer lies at Galera, a sprawling work site 90 minutes north of Barcelona, where twin cranes rise like latter-day monoliths over the hill.
答えの一部はガレラ、2機のクレーンが現代の巨石建造物のように丘の上にそびえ立っている、バルセロナから北へ90分移動した所に広がる作業場にあります。
"latter-day"は「現代版の~」と言う時に広く使えそうな形容詞ですね。later(léitər)ではなくlatter(lǽtər)なので発音に注意です。
monolithは巨大な一枚岩を意味する言葉ですが、megalith(巨石)という意味で使われることも多いようです。巨石というのはストーンヘンジのような先史時代の巨石文明を指す言葉ですね。monolithsと複数形になっているので、巨石建造物と意訳しました。
monolithとmegalithの意味のオーバーラップはwikipediaのMegalithの記事に書かれていました。
For later periods, the word monolith, with an overlapping meaning, is more likely to be used.
おわりに
TIMEの魅力を少しでもお伝えすることができたでしょうか?
一流の英文に毎日触れることで、英語を日本語と同じくらい自由にクリエイティブに使えるようになる日がいつか来ると思います。
できるだけ毎日更新しますので、どうぞよろしくお願いします。